第11章 3周年ライブ
上京後、Re:valeの人気は上京前よりも上がっているように感じる。
それぞれの名前を呼ぶ声に、声援...
来てくれる人の大半が女性ファンで、男性ファンもいるが付き添いや他のバンド目当ての人が多い。
その中で七桜を応援している声が聞こえると嬉しい。
七桜は可愛いし、実力もあるから音楽好きなファンが同業者にもいるし、ちょっと過激...というか危ないファンも中にはいる。
七桜は基本楽器演奏だけど、たまに歌うこともあるし普段はハモりを担当してくれている。
千は七桜も一緒に歌えないか、どうにかしたいとずっと考えている。
七桜が好きで見に来ているファンの多くは演奏を聴きに来ている人も多い。
もちろん歌ったときは、その歌声に喜んで応援してくれる。
こっちで認められるか心配してた七桜を知ってるから、俺も嬉しいし千だって嬉しいはずなんだけど...
「なんかモヤモヤする・・・」
眉間にしわを寄せて千が何か言った...モヤモヤって言ったか?
「どうしたんだ?」
そう聞くと、七桜のファンにモヤモヤしてイライラするらしい。
俺らにもファンはいるだろって言うけど、納得いかないようで...
(あぁ、わかった!)
千は本来容姿どうこうで見てもらうより、曲を聴いてほしいと思ってる。
自分達にキャーキャー言ってくれるファンはありがたいけど、千は七桜のファンの方が曲を聴いてくれるから羨ましいし、好きだから嫉妬してるってところだろうな。
いつも我関せずの千が、七桜にちょっかいを出してきたファンを怒るようになった。
あんなに怒った千を見たのも初めてだし、自分から止めに入ったのも初めて見た。
それだけ七桜が好きなのかと思うけど...女癖は前よりましになっただけで直ってはいないからそこは理解できん。
付き合ってと伝えてるのに、好きって自分の気持ちに気付いてないのが千らしいというか、なんか不憫とも思うけど...
好きって気持ちは自分で気付かないとダメだろうしな...
千が言う付き合いたいって関係は変化したんだろうか。
七桜は学年が上がるたびに頼もしくなる。
本当にできた妹だ。
受験もあるのに上京して拠点変わったりしたから受験勉強もちゃんと時間取ってあげないとな。