第10章 万の上京
今年1年も無事に終わり、年明け3人で初詣に来ていた。
記念撮影も忘れずに。
お詣りを終えて、出店で団子を買って食べることになりそれぞれ何にするか選ぶ。
千はずんだ、万はきなこ、私はあんこ。
1個ずつシェアして一緒に食べる。
「こうしてると仲良いのに、何であぁ言えばこう言うを繰り返すんだ?」
「えぇ?別に仲悪いわけじゃないよ?」
確かに言い合いしてることは多いかもしれないけど、決して仲が悪いわけじゃない。
「悪いとは思ってないけどさ、さっきみたいにしてれば仲良くも見えるし、付き合ってるようにも見えるぞ」
「何言ってんの?付き合ってるようにはどう考えても見えないから!目大丈夫?」
「七桜、ヒドいな。そんなにそう見られるのイヤなの?」
「え、普通にイヤだけど」
千はそんなバッサリ言い切ることないと落ち込み、万は面白がって笑ってる。
「僕はそう見られても構わないんだけど」
「ヤダよ!千はよくても、うちはヤダ!」
もうこのやり取りは正直疲れるんだよ...
「そうそう、俺・・・卒業したら上京することにしたから」
「上京するの?うちもとうとう受験かぁ・・・」
「えっ?万、上京って?七桜はもちろんこっちの高校だよね?」
「えぇっと・・・うちは万の上京に合わせて高校決めようかなって思ってたんだけど・・・」
そう言うと、千がどうしてだと言わんばかりの顔で見てくる。
「俺が少し前から遥人さんに相談してたんだよ。拠点があっちにあった方がデビューもしやすいんじゃないかって。そうなったら七桜が遠くなるだろ?」
「遠くに行っちゃうとすぐに会えなくなる・・・七桜はこっちの高校だと思ってたのに・・・」
「すぐ会えなくなるって、まだこっちにいるし。会おうと思えば会えるだろ」
「そうだよ。まだ先の話だから、そんな落ち込まないの」
「絶対デビューさせるからさ!」
千には話してないけど、前からお父さんにも言われてたし自分でも思ってたから、今万がやってるスケジュールの管理、企画や契約関係、今までの人脈だったりもろもろを教わっていた。
今まで万1人にさせてたことが申し訳ないと思った。
万がいなくなったときを考えて手伝ってるなんて言えないけど、千の人間関係ダメダメに期待できないし、出来るようになれば負担は減らせる。