第52章 Re:vale 企画 ②
ツアーの合同練習も上手くいっている中、千の職場体験が始まった。とは言っても、マジシャン体験だからスタジオで披露するだけなんだけど。
ゲストにはMEZZO"と悠斗。客席には観覧のお客さんも。
結構、習いに通ったみたいで大変だったらしい。
千が、次々とマジックを披露していく。
「ゆきりん、すげぇー!」
「千くん、凄いっ!」
高校生2人が喜んでいる中、大人1人...目を輝かせている人が...
「ユキ、今のどうやったの?近くで見てたけど全然わかんなかったよ!」
「分かったら困るから、それでいいんだよ」
「後で教えて?」
「わかったから、次いってもいいかな?」
マジックを披露するたびに中断されるから、スタッフが1度止めに入りちゃんと見るように言われる。
「千さん、凄いですね。みんなもあんなきはしゃいで可愛いですよね」
壮五はそう言うけど...
「大人が混ざってるけどね・・・」
「百さんなら許せるとこありますよね。うちで言うと、三月さんでしょうか」
「あぁ、わかる。それで一織に、兄さん恥ずかしいのでやめてくださいとか言われるんだよ」
壮五とそんな話しをしながら、千のマジックを見て無事収録は終わったけど、今度は教えて攻撃が始まる...
「はぁ、ほっといて戻ろっか・・・」
「いいんですか?」
「ほら、おかりんと紡もいるし。悠斗に構ってたら疲れるし」
「ふふ、環くんもいますしね」
2人で楽屋に向かい、それぞれ自分の楽屋に入る。
中に入ってダラッとゆっくりしていると、楽屋のドアが開いて誰かが入って来た。見ると、知らない男の人が立っていた。
(えっ?だ、誰・・・?)
「あの、どちら様ですか?」
「お前が七桜だな?テレビで見るより実物の方が可愛いな。ところで、百はいるか?」
高そうなスーツ着てる...そんな人が百に何の用?
まさか、月雲 了の関係者?
「勝手に入ってきて随分と失礼な人ですね。どこの誰か分からない人に教えることはできません」
だんだんと近づいてきて、部屋の隅に追いやられる。
「俺が誰なのか、それは重要じゃない。それより百はどこにいる?俺は頼まれて来ただけだ。時間がない、早くしろ!」
「随分と勝手な人ですね。名乗りもしないで連れて来るわけないでしょ?今ここで大声出してもいいんですよ?」
本当、こいつ誰なの?