第9章 学園祭
「黙っててごめん。まだ聞かせられるほど出来てもないからさ・・・これからはうちも手伝うから、それで許して?」
そこは素直に謝った。
「・・・なに、この可愛い生き物・・・」
千が顔を赤くして悶えている...どこに可愛い要素があった?
私が不思議に思っていると、万は可笑しかったのか1人で笑っている。
「万、なに笑ってるの?」
千は笑われたから少し怒ってる。
「いや、ごめん。お前も人間らしいとこあるんだなと思ってさ。顔、赤くして」
万と目が合って、つられて私も笑ってしまった。
2人で笑っていると、千は不機嫌になったけど気付いたら3人で笑っていた。
「あ、ねぇ、学園祭で着る衣装ってどうするの?」
「用意してくれるって言ってたけど」
「それ、うち作ってもいい?」
「2人分だぞ?作れるのか?一応聞いてみるけど、もし作るとしても無理するなよ。学校もあるんだし」
それから万から衣装はこっちで用意してもいいと連絡をもらった。
万に関わることはできるだけやれることはやってあげたい。
3人の思いでもたくさん作りたいから...
その日から忙しい日々が続いた。
2人のサイズを測って、デザインや生地、装飾を考えたり。
それに加えて、学校に練習にライブ...アイドル風だからダンスの振り付けを見る役も。
大変だったけど、お母さんにも手伝ってもらって楽しい時間だった。
2人もそこそこ楽しんで練習してるから写真に撮る。
ー
そして学園祭当日。
結局、お母さんと悠斗と3人で行くことになった。
衣装はアイドルっぽさを意識して作ってみたけど...
「そろそろ、万里くんたち始まる時間じゃない?」
お母さんにそう言われて会場へ移動する。
悠斗もいるから、前の方じゃなく安全な後ろの方で見ることに。
登場すると、キャーと女子の歓声が。
2人とも格好いいから、本物のアイドルみたい...
この学園祭の後から万がアイドル路線に変更するんだっけ...
そうなったら、どうしようかな。
アイドルグループに女はいらないよね...
私もそろそろ、一緒にやれなくなるかな。
全部の曲を3人一緒に歌ってるわけじゃないし...
寂しいけど、抜けて裏方で曲だけ作るとかでもいいかな。
アイドルなんて自分はできないと思うし...
ここまでって感じかなぁ...
2人を見ながら色んな思いが溢れる。