第8章 新生活
「いた。七桜、探したぞ。楽屋戻ろう」
「うん・・・」
「千のことは気にするな。あいつはあいつでちゃんと七桜のこと好きだよ。もちろん俺もね。心配したんじゃないか?だからって気軽に言うことじゃないけどな」
「千が心配?あり得ないでしょ・・・」
「そうか?俺は前よりも気にかけてると思うけど。それに、心配の仕方は人それぞれだろ」
「それにしたって。それで付き合ったとしたら、ますます言われるじゃん・・・」
やっぱり七桜は気付いてた...本当は気にしないでほしかったけど。
「ごめんな。変なこと言われるようになって」
「別に、言われてるからって何かされてるわけじゃないから。万もいるし大丈夫だよ」
「この前みたいなことは起こさせないから。俺がちゃんと守ってやる」
「ありがとう。万はお兄ちゃんみたいだね」
「そうだろ?俺もな、七桜は妹みたいで可愛くてしかたないんだ」
「ふふ、頼りにしてるね」
「ほら、戻らないと間に合わなくなるぞ」
そう言って、しぶしぶ俺にくっついて歩く。
こういう所は年相応で可愛いよな。
普段はしっかりしてるけど、ちゃんと中学生らしいところも見えると少し安心する。
時々、俺より年上なんじゃないかって思うようなこと言ったりするからな。
「千にまた何かされたら、俺に言うんだぞ?」
「うん。万にチクって怒ってもらう」
「だな!」
そう言って、2人で笑いながら楽屋に向かう。
万は本当に頼りになる。
そこまでしなくていいよって思うくらい気遣ってくれるし、心配もしてくれる。
何かあったときのフォローも忘れない。
万がいなくなったら大変になるだろうな・・・
うちが万の役目をしないといけないってことになるんだよね・・・
そんなこと、うちにできるのかな。
「どうかしたか?」
「うぅん、なんでもないよ。次の助っ人見つかりそう?」
「どうだろうな。もういらないかなとも思ってる。七桜は何でもできるし、俺らもギターできるしな。本当はいた方がいいけど」
「そっか。次はちゃんとした人だったらいいね」
「そうだな。よし、今日も楽しんでやりますか!」
楽屋に戻って、それぞれやることをする。
千とは何もなかったように接することにした。
千も何も言ってこないし。
このままスルーしておこう。