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未来へ繋ぐメッセージ【アイナナ/Re:vale】

第1章 小さい頃の記憶




私の中にある記憶には、歌手を目指してオーディションを受け、音楽活動をしていた人がいる。漫画やアニメ、ゲームが好きで、楽しそうに歌う姿が浮かぶ。

その記憶の中の彼は、まるで私がその人の過去を覗き見ているかのように感じられた。記憶を辿っているような、でも、どこか遠くの出来事を見ているような不思議な感覚。

そんな気持ちを抱えながら、日々を過ごしていた。

少しずつ、言葉を覚え、歩けるようになり、ようやく走れる程度に成長すると、テレビで見る歌手の真似をして歌ったり、家にある楽器を叩いたり弾いたりするようになった。

家には父が若い頃から使っていた楽器が並んでいて、今も趣味でバンドをしているらしい。父の影響で、音楽には自然と触れて育った。

そして、父と母も協力的で、私に楽器を教えてくれたり、音楽教室に通わせてくれたりしたおかげで、ピアノ、エレクトーン、ギター、ドラムは、5歳にはもうできるようになっていた。

その頃、まだ小さかったけれど、父のバンド仲間たちと一緒に歌って演奏して、音楽の楽しさを心から感じた。

「七桜は、大人になったらすごい人になるかもしれないな。」

それが、父とその仲間たちの口癖だったらしい。

両親は若い頃に結婚して、20代で私を生んだ。母は料理が得意で、常識を大切にする人。でも、小さい頃の私は、父のことを過保護で心配性、そして子煩悩だと思っていた。

それでも、そんな二人が大好きだった。

年齢を重ねるにつれて、頭の中にあった記憶のモヤが少しずつ晴れてきた。でも、それが誰の記憶で、どんな人たちなのか、未だに分からなかった。

それが、あまり気にしなくなっていた頃…生まれて初めて、違和感を感じる出来事が起こった。

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