第1章 小さい頃の記憶
季節は冬。
街はイルミネーションで彩られ、冷たい空気の中、どこか温かな光が揺れている。
12月7日、私はこの世に生まれた。
生まれてから数年…
その頃から、どこか漠然とした「何か」が自分の中にあることに気づいていた。
でも、幼い私はその「何か」をはっきりと認識することができなかった。
ただ、ぼんやりと数人の、たぶん男の人たちが見え、その中で一人だけが光っている映像が、時々脳内に浮かんだ。
(この人たちは…誰だろう?)
なんとなく、見覚えがあるような気もするし、何かを覚えているような気もする。でも、どうしても思い出せない。
それでも、ひとつだけ確かなことがある。それは、自分が「小さな子供」ではないという感覚だ。
心の中に、まるで別の人生の記憶のようなものがある。
けれど、それが誰のものなのかは、どうしても分からない。