第38章 期待の新人
そんなわけない...僕だってずっと好きだったんだから...
「嫌いなわけないでしょ。でも、酔ってる七桜を抱っこはできないかな」
そう言うと、じゃあいいと諦めてモモの元に向かった。
僕が意地悪すると言って...
「意地悪はしてないんだけど・・・」
「ほら、おいで」
モモに抱っこしてもらって、満足そうにそのまま寝てしまった。
次の日、朝起きると頭が痛かった。
隣には百が寝ていて、百の部屋にいた。
(昨日は事務所でお祝いして、それでシャンパン飲んで・・・)
「・・・ん、おはよう。頭痛くない?大丈夫?」
「うん、ちょっと痛い。うち、どうやってここ来たっけ?」
「昨日飲み過ぎて寝ちゃったんだよ。覚えてない?」
シャンパン飲んだのは覚えてるけど...
「はは、昨日ユキに抱っこしてって甘えてたよ。断られて、俺のとこ来てそのまま寝ちゃったの」
「ウソ・・・」
千にそんなことしてたなんて...不覚だわ...
「大丈夫。ユキは怒ったりしないよ。むしろ喜んでたよ」
そう言うと、それが嫌なんだと言う。嫌味言われるからって。
確かにカラカイ程度にユキなら言いそうだけど...
「嫌がる事はしないと思うから大丈夫だよ。可愛かったけど、俺がいないとこでいっぱい飲むの禁止ね!あんなの見せられたら七桜のこと好きになっちゃうよ・・・俺、ヤキモチ妬いちゃう」
「うん、そうする。でも、昨日どれくらい飲んだか覚えてないよ?」
「じゃあ、今度家で飲んでみよう。どれくらいまでなら大丈夫か検証しとかないと!」
「検証って・・・」
「まだ寝てていいよ。七桜みたいな朝ご飯は作れないけど、トーストと目玉焼きくらいならできるから。コーヒーでいい?」
「ありがとう」
「ちょっと待っててね」
頭を撫でてから、百は部屋を出て行った。
朝ご飯作ってくれるって...料理できるようになったの?
そういえば、部屋もあまり散らかってないな。
記憶だと散らかってたはずだし、ラビチャばっかりしてるはず...携帯触ってるの見ないかも...未来が変わってる...?
百に呼ばれてリビングに行く。
「百、卵焼けるんだね」
「へへ、ちょっと練習したの!ウィンナーもあるよ」
百はいつも作ってもらってばっかりで今はこれくらいしかできないけど、作れるようになりたいと言う。