第34章 バレンタインデー
手はもちろん恋人繋ぎ。
嬉しすぎて幸せで浮かれてる俺を、ちょっとだけ引いた目で見てくる七桜。
「そんな顔しないでっ!俺、めちゃくちゃ嬉しいの!あの七桜さんと付き合えてるんだよ?まだ信じられないくらいだもん。ユキが七桜のこと好きだったって知ってたから、気持ち伝えることできないなって思ってたんだ・・・」
ユキのことを思い出す。
「俺の誕生日の日にね、ユキが俺に言ってくれたんだ。俺にちゃんと気持ち伝えてって。ユキは七桜の好きな人知ってるって言ってたし、自分の想いは届かないから・・・その相手が俺なら嬉しいって。でも、なにかあったら奪うとも言ってたけど、応援してくれたよ」
「千はうちが百のこと好きだって知ってたからね。だから今回のバレンタインは普通のだったんだ。いつも何かしら意味のある物くれてたんだよね」
「そうなんだ・・・ユキらしいな。でも、俺があげたのにもちゃんと意味はあるからね」
「キャラメルは確か、安心だっけ?」
「それ、今言っちゃう?」
「違ったっけ?」
「むぅ・・・安心する存在だよ。俺にとって七桜はそういう存在ってこと。まぁ、それだけじゃないけどさ。ずっと一緒にいたいって思うよ。だから、ずっと、ずぅっと一緒にいてくれる?」
「うん。うちも百と一緒にいたいよ・・・」
そう言って、繋いでる手を強く握ってくれた。
「可愛い・・・」
気付いたら声に出てて自分でもビックリした。
「百だって可愛いし、格好いいよ」
心が打たれるような感覚。
このままどっか連れ去ってしまいたくなる...
帰らないといけないんだけどね。
家に着いて、帰らないといけない。
離れたくないけど、いつまでもここにいるわけにもいかない。
よし!と思って、最後に軽くチュッとキスをしてから帰る。
『花にも意味あるから、知らなかったら調べてもいいよ!』
そうラビチャで送っておいた。
帰り道、ニヤけちゃってヤバい。
(モモちゃん、超超ちょーハッピーなんだけど!)
家に帰ると、ユキがもう帰って来てた。
さっそく、ユキにきちんと報告する。
「ユキ、俺ちゃんと七桜に気持ち伝えたよ!」
「そう。大丈夫だったでしょ?」
「うん!ユキ、ありがとう。俺すっごい嬉しいよ。ユキも大好き!」
ユキに抱きついて泣いた。