第32章 再会
あの日から、少し百とは気まずい状態が続いている...
みんなの前ではなんにもないようにしてはいるけど、仲直りはできていない。
デビュー曲を出してからテレビ出演は前よりも増えたし、Re:valeとしての活動も個々の活動も、それなりに順調だ。
今日はイベントがあって、握手と壁ドンをする予定。
私はされる側じゃない?って話しになったけど、それは危険が伴うから女の子のファンにしてあげるということに決まった。
(うちに壁ドンされても誰も喜ばないと思うんだけどな・・・百は喜ばせるの好きだからいいけど、千はちゃんとやれんのかなぁ・・・心配だ・・・)
イベントが始まると、意外にも喜んでくれる女の子たち...
正直ビックリだけど、嬉しい...
雑誌の影響か至近距離で見られて喜んでくれる子や悲鳴を上げて喜ぶ子と様々な子がいた。
何事もなくイベントが無事終わり、事務所に戻る。
「七桜のとこで悲鳴聞こえてたけど、大丈夫だったの?」
「あれは、七桜さんとの距離の近さに興奮してたんですよ」
おかりんが大変でしたと疲れたように話した。
俺はその子たちの気持ちわかるなって話しに入りたかったけど、やっぱり気まずくて楽しい雰囲気で話しに入る事ができなかった...
「昔のモモみたいだね。叫んで逃げてたし」
「にゃははぁ・・・そうだね・・・」
「この後は、3人で雑誌の打ち合わせですよ。それが終わったら今日は終わりですから、頑張りましょう!」
会議室に向かうと、店長と知らない男の人が2人いた。
店長が、こっちは今回新しく立ち上げるブランドの担当の人とデザイナーだと紹介してくれた。
「宜しくお願いします」
デザイナーさんが千のサイズ確認したいから用意した衣装を着てみてくれないかと千を連れて別室へ行ってしまった。
千が着替えてる間、新しいブランドの服を見せてもらえた。
担当の人は、おかりんにテレビの撮影でも衣装使ってくれないか頼んでいた。
「こうしてモデルの仕事もらえるのも、七桜さんがバイトしたお陰ですね。ありがとうございます」
「いや、店長がいい人だったからでしょ?」
「でも、七桜がバイトしてなかったら店長さんとも会うことなかったかもしれないじゃん!俺もモデルやってなかったかもしれないしさ」
そう言ってもらえるのは嬉しいな。