第30章 新居
「じゃあ、効きそうな御札とか・・・相談しに行ってくるよ専門のところに。俺も来てくれないと寂しいし、ユキも悲しむよ?」
「うちも一緒に行く・・・清められたい・・・」
「ユキも一緒に3人で行こう?帰ったらちゃんと説明しとくから」
「ごめんね・・・千も急にビックリしたよね。でも、なんか怒ってる気がしてゾワってきたからさ」
「ユキなら言えばわかってくれるでしょ?七桜のことあんなに大好きなんだから」
自分で言っといて、ズキッと胸が痛んだ。
ユキは七桜のこと好きなんだった...
「百?」
俺が黙り込んでると七桜が声をかけてきた。
少しだけなら聞いてもいいかな。
「・・・七桜はさ、ユキのこと好きだよね?」
「うん・・・まぁ、好きは好きだけど。なんで?」
「それは、男・・・として?」
「ないない、それはない。人としてちゃんとしてるわけでもないけどさ。それでも今まで一緒にやってきた仲だから・・・たぶんこれからも何かあっても千のことは見捨てられない。1人にしたら何するかわかんないしね。百のことだって見捨てないよ。百も1人にしたら何するかわかんないって、ちょっとは思ってる」
「俺も?」
「千とは違う意味で心配。1人で考え込みすぎて頼ってくれない。自分を追い込みそうで、それがちょっと怖いかな・・・」
そう言われてギクッとした。
バンさんの事とか、家族の事、色々あったけど1回も相談したことはなかった。
気付いたら七桜が異変に気付いてフォローしてくれてた。
俺はそれに救われていた。でも、知らないフリしてた。
しっかりしなきゃと思ってユキにも相談できなかった。
「何でも話すことはないけどさ、1人じゃどうしようもない時ってあるじゃん?小さい事でも思い悩むくらいなら話してほしい。その方がうちも千も嬉しいし。百には苦しんでほしくないから。なんでも背負い込む必要はないんだよ」
七桜さんが優しく言ってくれるから、俺は嬉しくて泣いてしまった。
「泣かせるつもりはなかったんだけど・・・ごめんね?」
そう言って、俺を軽く抱きしめて慰めてくれた。
ますます泣けてきて、俺はしばらく泣き続けてしまった。
そして、今までの気持ちが溢れ出してきた。
ユキ、ごめん...俺もずっと七桜さんが大好きなんだ...