第30章 新居
契約したけど、嘘吐いてたのはそっちだから解約してもいいと少し強気に出て、家賃をギリギリまで値切ることに成功した。
それと、適当な人じゃなく、ちゃんとした人に部屋のお祓いを頼むことも約束してもらった。
これくらい当然してもらわないと、事故物件なんて住めるかっての!
「七桜さん、凄いですね!物知りだし、俺もビックリしました。俺もまだまだ知らないことが多いですね」
「うちね、間取り見るの好きなんだ。こういう部屋に住みたいなとか、家具の配置はこうやって好きな物に囲まれて生活するのを想像するの。だから、結構不動産のサイトとか見てるんだよね。これから1人暮らしもするだろうし、知らないよりは知識あった方がいいでしょ?それに、事故物件だけは絶対嫌だから」
「そうなんですね。それで詳しかったんですか。確かに好きな物に囲まれて生活するのは想像するだけで楽しいですね!」
「でしょ?」
七桜さんのお陰で家賃も大分安くなったし、ちゃんとお祓いもしてくれることになったからよかったな。
お祓いはこれから住む僕らも参加ということになったから、七桜さんは住むわけじゃないけど参加してもらった。
無事にお祓いが済んで本格的に引っ越しが始まった。
ユキさんの引っ越しは、バンさんの家にある荷物とバンさんが残していった必要な物だけだから七桜さんも一緒に処分する物と必要な物に分けていた。
俺は家から必要最低限の荷物だけ、ほとんどが衣類だ。
出費はなるべく抑えるように七桜さんから言われてるから、食器とか壊れ物、鍋や調理道具、バスタオルや洗濯・お風呂用品は100均やホームセンターで揃えた。
家電はバンさんが残していってくれた物をそのまま使うことになった。
「七桜がいてくれて本当に助かったよ」
「千も百に任せっぱなしはダメだよ?うちは一緒に住まないんだから、千もしっかりしないと」
「うん、だから僕に料理教えてくれない?あんまりお金かからないやつ」
「いいよ!今日は引っ越しだから引っ越し蕎麦だけど、今度教えてあげるね」
材料は買ってきてるから、千にも手伝ってもらいながら作ろう。
私が作業してるのを横で見ながら聞いてくる。
ちょっとやりたいというから、包丁を千に渡すと顔色が悪くなった。
「あとはうちやるから見てていいよ」