第3章 決定的な出会い
ー千&万saidー
ある日、偶然通った道の広場で路上ライブをしてる女の子を見かけた。
幼い顔が印象的な可愛らしい女の子が1人でどんな路上ライブをするのか...
最初はそれくらいの気持ちしかなかったんだ。
その子は決まった日にライブをしているわけではないみたいで、見かけたのはほんの数回程度。
電子ピアノとギターを上手く弾きこなしていたし、何より歌声が綺麗だったんだ。
僕はその数回程度で彼女の音楽に引き込まれていった。
万にも見せたくて一緒に行ったこともあるけど、運悪くライブの日ではなかったみないで見せることは叶わなかった。
別な日に偶然、彼女のファンと思われる人がライブハウスでライブをしているという話を聞いた。
ー
「その子が今日ここでライブするのか?」
前から千に聞いていた子がライブするらしく、一緒に来てはみたけど...
「うん。ファンっぽい子に聞いたから間違ってないと思うけど」
「なぁ、もしかしてあの子?」
おそらく関係者以外立ち入り禁止であろう客席に幼い女の子が大人と一緒にステージを見ていた。
「そう。確かあの子だよ」
「へぇ、可愛い子だな。千が驚く演奏早く聴いてみたいな」
「万も驚くと思うよ」
「楽しみだな。それに今日は別な目的もあるからな」
「そうね。万もしっかり聴いてね」
実際本人を見て正直、千の言ってる事が本当なのか不安に思った。
確かに可愛い子だ。けど、幼すぎないか?
どう見ても小学生くらいだろ...
せっかく来たし、ちゃんと聴いて帰らないとな。
千から聞いて楽しみにはしてたし。
そして、彼女の出番がやってきた。
周りの人達の話を聞く限り、色んなバンドの助っ人として活動しているようだ。
(あんなに小さいのに助っ人として呼ばれるなんて凄いな)
始まりを待ち、曲が始まった。
「・・・マジか。スゲーな・・・」
それしか言葉が出なかった...
演奏が終わっても演奏と歌声の余韻に浸っていた。
「どうだった?」
「あの子、凄すぎないか?」
「路上で見た時と雰囲気も全然違った。僕も正直あそこまでとは思ってなかったからビックリしたよ」
「今日来た目的はちゃんと果たせたか?」
「十分果たせたよ」
「そうだな。俺達も負けてられないな!」
「そうね」
これから物語が動こうとしていた。