第23章 私の記憶
私は万に頭の中にある記憶の話しをした。
あの時こうしていれば、あぁしてればと思ったことも。
泣きながら話す私の話を万は黙って聞いてくれた。
流れる涙を拭い、頭を撫でて優しい笑顔を向けてくれた。
これから起ることまで全部話したわけじゃないけど、今までのことは一通り話終わった。
「そうか・・・」
万は一言だけ言って、少し考え込んでしまった。
「信じろって言う方が難しいかもしれないし、信じられないと思うけど・・・」
「うーん、確かに今すぐにはちょっと・・・嘘だとは思ってないよ。俺も考えるから、少し時間くれ。疲れただろ?今日はもう休みな」
「ありがとう」
頭を撫で、笑顔を見せると万は自分の病室へ戻って行った。
話しを聞いて万はどう思っただろう...しばらくボーッとしていると、千が病室にやって来た。
「七桜、泣いてたの?」
悲しそうな顔で私の目に触れる。
「泣かないで」
千は今にも泣きそうな顔でそう言う。
「千・・・自分のせいだなんて思わないで。千が無事で良かったって思ってるよ」
「七桜・・・ごめん・・・」
そう言って、千は泣き出した。
「僕はどうしたらいい?七桜も万も僕のせいで怪我をしてしまった・・・万にも会いたいのに会わせてもらえない。心配なのに、僕のせいで怪我したのに、家族以外は会えないって」
(千は万に会えてないの?だって、万のお父さんは千と会いにおいでって・・・どうしてそこだけ記憶と同じなの?)
「千・・・万のお父さんと会ってないの?千はどうしたら会わせてもらえると思う?どうして会えないかはうちもわからないけど、たぶん千が自分で気付かないとダメなんだと思うよ?」
謝ったのにどうして会わせてくれないんだと言う...
「自分がどんな理由で謝ったのか説明できるの?前みたいに思ってもないのに謝ったなら、その言葉には意味はないんだよ?今の千ならわかると思うけど」
「僕は変わってないよ。七桜と万は大事。それだけだ」
「大事だと思ってるなら大丈夫。千なら気付けるよ」
どうして千が万と会えていないのかはわからない...
状態から見ると会えててもいいと思うんだけど...
(万のお父さんはどうして千と会わせないんだろう・・・千にはあぁ言ったけど、合ってるかな・・・)
少し不安だな...