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月の虜

第16章 月食


ー月食は、妖が出るよー


豊前「ダメだ。」

「…くどい。依頼が来ているのだから、行かなきゃならないの。」

豊前「けどよぉ…。」

「聞き分けなさい。」

桑名「じゃぁ、せめて誰か連れていってよ。俺とか。」

「だから、神様が来たら出てこないでしょ?」

松井「危険すぎる。」

「…政府からの命令に“危ないから嫌でーす”なんて、言えないでしょ。
備えはした。」

篭手切「それは、わかりますが…。」

五月雨「犬ならいいでしょう?」

「あなたは付喪神です。…みんなの気持ちは嬉しいけど、私が行かないとこの本丸が無くなる。
私の代わりはいても、あなた達の代わりはいないもの。」

豊前「逆だろ!?あんたの代わりはいねーんだよっ!」

松井「あなたじゃなければ、この本丸は機能しないよ。」

桑名「…大地だって、他の人は受け入れない。」

あぁ…私はなんて幸せなんだろうか。
でも、私にはあなた達以上に大切なものはなにの。

村雲「なんとかならない?心配で、お腹痛くなってきた…。」

「村雲…。」

優しいなぁ、もう。
私は村雲のお腹をさすりながら、江のみんなの顔を見る。
一同に不安そうだ。
どうしたら、安心させてあげられるなかな…

豊前「じゃ、こうしねぇか?」



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