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月の虜

第16章 月食


と、いうわけで。
私は単身、妖退治へとやってきた。
そう、月食の日に。

政府が時空の歪みとは違う揺らぎを感知し、妖退治が得意(?)な私へと依頼が来たのだ。
そう、“私”に。
遡行軍なら男士に行ってもらうのだが、妖だとそうはいかない。
倒すのではなく、祓うのだから。

しっかし、不気味だなぁ。
真っ赤な月。
いつもより暗い夜道。
いかにも「出ますっ!」て、感じ。
指定された座標はここだ。
さて…鬼が出るか、蛇が出るか。

ゴアァァァァァァ…

おいでなさった…って!

「鬼も蛇も、どっちも出るとは聞いてないっ!」

これ…
百鬼夜行レベルじゃない!?
まぁ、ゾロゾロと!
でも、数で勝負みたいだな。
1匹はそんなに強くない。
護符や呪印を上手く使って、順番にたおすしかないか。

でもさ、

「これは多すぎでしょー!!」

護符やが尽きるか、霊力が尽きるか。
こちとら、根性だけは誰にも負けないんだよっ!
女だてらに審神者やってんだ、舐めんなよ!
それに…
帰りたい場所があり、待っていてくれる人が居る。
無事を祈ってくれているんだ。

「はぁ…はぁ…。」

どのくらい過ぎただろうか。
やっと、終わりが見えてきた。

『主!』

あぁ…
密かに想っている彼のことが浮かぶ…
帰ったら少しくらい甘えても許させるかな。
だって、こんなに頑張ったんだよ?

グォォォォォっ!!!

疲れて集中が切れていた。
目の前にでっかい妖が来ているのに、気づけなかった…

あ、詰んだ。

君への想いはこのまま、あの世に持っていく事になるのかぁ。

豊前[じゃ、こうしねぇか?江の中から一振り選んで、刀紋を刻ませてくれ。その上を主の霊力でこう、らっぷ?みてぇに被せて隠すんだ。で、いよいよヤバいって時に呼んでくれ。]



ーつづくー



101p→豊前
103p→松井
105p→桑名
107→五月雨
109p→村雲
/ 110ページ  
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