第4章 溺愛ー膝丸ー (裏)
膝丸と呑みながら、なんて事のない会話を楽しむ。
髭切の話題が多いが、兄弟だしね。
任務や遠征の話もしてくれて、刀剣同士の相性や適性なんかも見ていて教えてくれた。
『よく見ているのね。感心しちゃった。』
「…主の事も、見ているぞ。」
『えっ…そんなにドジってる?
それとも、なんかやらかしてる?』
「何故そうなる?
…俺が主を想っているとは思わないのか?」
誰が…誰を想うって?
膝丸が私を?
いや、まさか…
私が膝丸を想っているけど、逆は…ねぇ。
「主、聞いているか?
俺は主を好いていると言ったのだが。」
えっ…
膝丸が私を好き?
うそ…
私、酔ってる?
それとも、夢オチ?酔って寝ちゃった?
「酔ってないと思うし、寝てないぞ。」
『あれ…声、出てた?』
「しっかりとな。
ちなみに、俺も酔ってない。
せっかく、二人きりになれたから…伝えた。」
『膝丸…。』
「が好きだ。」
それまでグラスを見ていた膝丸が、真っ直ぐに私を見て伝えてくれた。
…私もちゃんと、答えないと。
『ありがとう、膝丸。
私も…膝丸の事が好き。』
「…本当に?」
『本当。』
「そんな風には…。」
『見えないようにしてた。
…三日月は気づいているみたいだけど。』
「確かに…。
俺もなんとなく、気づかれていたように思う。」
三日月…
分かっていて、言っていたんだね。
「。」
『あっ。』
ぐっと腕を引かれ、膝丸に抱き締められた。
「…身体が冷たいな。」
『冷えたかな。』
「…温めてもいいか?」
耳元で囁かれ、体の奥に熱が籠る。
どこで?どうやって?なんて野暮な事は聞かない。
きっと、私が望んでいる事と…同じだから。
『…うん。』
返事をすると、膝丸は私を抱き上げて私の部屋へと移動してベッドへと降ろす。
ギシッ…
「…。」
真剣な瞳に見つめられ、聞いたこと無いような優しい声で名前をよばれると私の奥に熱が生まれる。
『膝丸…。』
「俺を好きになってくれて…ありがとう。」
『私こそ…ん…。』
“ありがとう”の言葉は、直接膝丸の中へと。
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