第4章 溺愛ー膝丸ー (裏)
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んー。
今日も良く働いた!
お疲れ様、私!
週一の楽しみと決めている、就寝前のアルコール。
今日がその日。
明日は休日。
深酒しても大丈夫。
『かんぱーい。』
一人縁側で、お月様に乾杯。
今日はどうしてもチーズが食べたいので、お酒はワイン。
赤と白のボトルを並べ、気ままに楽しむ。
お酒が先か、おつまみが先か。
その時の気分で決める、ひとり酒。
誰にも気を遣わないで、好きに飲めるのがたまらない。
まぁ、ウチの本丸の男士は一緒でもそんな事はないのだけれど。
私に誘われたら、断りづらいでしょ?
彼らも休日前に、気遣うことなんてない。
各々、好きに過ごしたらいいんだ。
『んー、美味しい。』
私も、好きに過ごしてるし。
?「主?」
ん?この声は…
『膝丸。どうしたの?なにか用かな?』
膝丸「いや、まだ眠くないから本丸内で起きてる者を探していたのだ。」
『じゃ、私と呑まない?ワインだけど。』
膝丸「邪魔ではないか?」
『一緒に呑んでくれると、さらに美味しくなるんだけど?』
膝丸「そう言う事なら、喜んで。」
願ってもない事だ。
私は膝丸に恋心を抱いている。
必死で隠しているから、気づかれていないと信じたいけれど。
…三日月辺りは、気づいてるかな。
贔屓したりしないけど、視線は勝手に膝丸を追っているから…
ー恋心とは厄介なものだー
三日月が言ってたな。
確かに、厄介だ。
審神者が刀剣に恋するなんて、思ってなかった。
コントロール出来ないのが、恋。
膝丸「美味い…。」
『良かった。赤と白、どっちが気に入った?』
膝丸「白かな。渋味があまりないのがいい。」
ほほう。
スッキリした方がお好みなのね。
膝丸の情報が蓄積されるのが、嬉しい。
単純だなぁ…
こんな風に一喜一憂するなんて、何年ぶりだろうか。
自分は割と、冷めたタイプだと思っていた。
常にどこかで冷静な自分が居て、夢中になれないでいた。
…それだけ、心惹かれる相手が居なかっただけの話なんだが。
今、こうして膝丸の事でいっぱいになっている自分が滑稽だけど嫌いじゃない。
まぁ、結ばれる事はないだろうが。
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