第2章 虹色
女将さんにとっていただいた宿につくと
そこでは、わたしがなかなか宿に来ないということで少し騒ぎになっていた。
「菖蒲ちゃん!どこ行ってたんだい!
宿に来てないって連絡があったから心配してたんだよ!
神隠しとか、何か酷いことになってるんじゃないかと……!」
「女将さん、ご心配お掛けして申し訳ございません。
危ないところをこちらの方に助けていただき、少しの間ご厄介になっていました。」
女将さんの視線が童磨の方に視線が行くと
童磨が
「ちょっと、この子のお客さんが付け回してた様で大変な事になってました。
俺が霧滝さんを保護して、男がいなくなったの見計らって連れ帰ってきたところです。
ご心配おかけしました。」
と説明して頭まで下げてくれた。
女将さんは、童磨さんを見て頬を染めた。
「あら、色男ね!菖蒲ちゃんたら、こんな色男に助けられちゃうなんて…羨ましいわぁ!有難うね!
この子うちによく来ていただいてるから遊びにいらっしゃい。」
「いえいえ、俺もまさか助けた子が神楽舞踊の子だとは天に昇る気持ちです。」
「あなた見る目あるわね。すごく良い子なのよ!宜しくね!」
当人はそっちのけでなぜか宜しくされてしまった。
わたし、全然そんな気持ちもつもりもないのに………
これ以上二人でお話が発展しないように、間に入ってみた。
「童磨さん、今日は本当に助かりました。有り難うございました。
また明後日お礼にうかがいます。」
「いいよいいよ。こちらこそ会えてよかったよ!
もう少しお話ししたかったけど……
明後日楽しみにしてるね!」
そういって手をひらつかせながら、夜闇のなかに消えていった。
その後、女将さんにいろいろ尋問喰らったのは内緒である。