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言の葉の裏【鬼滅の刃】冨岡義勇

第7章 杏寿郎の本気


杏寿郎さんが、私を…好き……?
嫁になってくれと言われた……

琴音は戸惑った。
そんなこと、今まで考えたこともなかった。
戦闘中でもないのに、動悸が激しい。頭がうまく回らない。


「え…と、あの……」
「………困らせてしまったな」
「……いや、あの…困ったというか……」
「驚いたか?」
「そう!それ!」
「まあ、そうだろうな」

杏寿郎は少し申し訳なさそうな顔を浮かべる。

「しかし、俺はちゃんと琴音に伝えておきたかったんだ。好きだと。結婚したい、と」
「杏寿郎さん……」
「迷惑か?」
「そんなことはないよ」
「君は俺のことが好きか?」
「勿論、大好きだよ」

「よし!ならば決まりだ!」

杏寿郎はぽんと自分の膝を叩く。

「えっ!?」
「ん?何か問題があるか?」
「そんな、すぐに決められるものじゃないでしょ!」
「? 琴音はわりとなんでも即決するじゃないか」
「いやいや、結婚はまた話が別でしょ?!」
「何が違う?」

「な、何って……」
「俺は君が好きだ。君も俺が好きなのだろう?」
「……………う…、うん」

「迷いがあるな。どうした」
「……迷い…」
「即断即決の君が、珍しく足踏みをしている。ただ単に『結婚』という大きな問題に直面して躊躇している……訳ではなさそうだ」
「………………」

「他に好きな男がいるのか」
「え?」
「その男が気がかりなのか?」
「………好きな男の人?」
「違うか?」

「………わかんない」

琴音は俯いた。
確かに「はい、私もあなたが好きです。あなたの元へ嫁ぎます!」と言えない自分がいる。


彼女が、YESでもNOでもない曖昧な答えを出すのは珍しい。


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