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言の葉の裏【鬼滅の刃】冨岡義勇

第28章 女の子だって


「昨日よりはだいぶ良くなってきていますね」
「だね、……わたし、も、……そう思う」
「だてにいろいろな抗体を持ってませんね」
「えへへ……っ、ぐっ」

琴音は体を横に向けて、手桶に嘔吐した。血が混じっている。

「……はぁ、はぁ……だいぶ、吐血量は…減ったね」

朦朧としながらも冷静な琴音。しのぶは琴音の背中をさすった。

「ええ。毒素も減ってきていますよ」
「……うん」
「頑張りましょう」
「ありが…と……」

そのままゆっくりと目を閉じる琴音。

「冨岡さんも、待ってますよ」
「そう…だ…ね……」

しのぶは寝息を立て始めた琴音の口元を拭ってやる。

「琴音、負けないで」

琴音はその声が聞こえたのか、目を閉じたまま微かに頷いた。


今回琴音が体内に入れたのは、炭治郎が収集した上弦の血の濃縮液だ。上弦の血は鬼舞辻に近く、人間にとってはそれそのものが毒であるとわかっている。

即死してもおかしくないので、最後の最後までしのぶは迷ったが、琴音の強い希望で注入を決めた。


もし琴音が毒に打ち勝てずにここで死んだとしても、血は残る。そうなればそれこそ一滴残らず使えるので、琴音の頑張りが無駄になることはない。

それでも、もちろんしのぶは琴音に生きてほしいと願う。戦友であり、親友である二人。
何もしてあげられないことに歯がゆさを感じながら、しのぶはひんやりと冷たい琴音の手を握った。

「姉さん……琴音を守って」

琴音の手がしのぶの手を握り返してくることはなかったが、琴音が懸命に繰り返している回復の呼吸に、彼女の強い命を感じた。


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