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言の葉の裏【鬼滅の刃】冨岡義勇

第16章 一緒に


「きゃっ!……びっくりした」
「どれでも使っていい」
「んー、でも全部高いお茶なんだよね」
「好きなのを使え。俺にはよくわからない」
「お茶にも好みがないのね」
「ない」

義勇は抱きついた腕に力を込めた。

「好きなのは、お前だけ」

途端に琴音の顔が赤くなる。

「……なによ、それ。柄じゃないこと言っちゃって」
「本当だ」
「お茶っ葉落としたらどうしてくれるのよ。高いんだよ、これ!」

琴音は顔を赤くしたまま、照れを隠しながら急須にザクザクと茶葉を入れていく。そんな彼女の様子も義勇は愛しくて堪らない。彼女の耳に唇を寄せてチュッと音を立てて吸った。

「ひゃっ!……もーっ!!本当に溢しちゃうでしょうがー!!」

くすぐったさに身をよじる琴音。「準備できるまでお部屋にいなさい!」と、義勇は台所を追い出された。

廊下に出された義勇は、素直に部屋に向かう。琴音の可愛らしさに笑みがこみ上げる。


少し待っていると、お盆にお茶を載せて琴音が運んできた。こぽこぽとお茶を淹れ、目の前に置いてくれた。二人はお茶を飲みながら話す。

「欲しい家具とかあるか」
「んー……棚、かな」
「棚か」
「本とか置きたいな。薬の」
「人形用の棚じゃないのか」
「……うん」
「持ってこないのか?」
「…………」
「どうした」

琴音は上目遣いで義勇を見ながら小さな声で言った。

「だって……子どもっぽいって思うでしょ?お人形とか」
「……?」
「だから、連れてこない」
「いや別に」
「連れてこない!私もう子どもじゃないもん!冨岡と並んで歩いててもおかしくないような女性になるんだもん!」

それを聞いて義勇は驚いた。そんなことを考えているとは思ってなかったから。義勇はくすっと笑った。

「お前は人形が好きなんだろう」
「え、まあ、……うん」
「なら連れてこい。棚も置け」
「でも」
「子どもっぽいなんて思わない」
「ほんと?」
「ああ。思い出が詰まった大切なものなんだろう。棚を置いたら取りに行こう」
「うん!」

琴音は嬉しそうに頷き、義勇は琴音の頭を撫でた。

「熊も一人じゃ寂しいだろうからな」
「犬だってば!」

だからお耳がね…、と力説し始める琴音を見て、やっぱりまだ子どもじゃないかと義勇は笑った。

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