第20章 10月31日 渋谷にて
至近距離からまともに入り吹っ飛ぶが、腹部を貫くまでは至らなかったようだ。
「チッ、焦ったな、圧縮が足りなかった」
一方の虎杖も無傷とはいかない。
左脇腹から出血しながらも脹相を睨む。
クソッ、コイツ強い!!
「オイ!」
突然虎杖のポケットから声が。
「どういう状況ダ!?」
「メカ丸!オマエ、今までなんで!?」
「省エネダ!俺にはまだやることがあル!!」
血の玉を作りながら脹相は突然聞こえてきた声に眉をひそめている。
「脹相!赤血操術カ!!」
「知ってんのか!?」
「加茂が同じ術式を使ウ」
尋ねながらメカ丸を耳に装着する。
「あの糸目の3年生か、ってことは……」
「弱点は知らんゾ」
「げ」
「赤血操術は加茂家相伝の術式の一つとして重宝されていル。その理由が近・中・遠全てに対応できるバランス力ダ」
強いて弱点を挙げるとするならば、自身の血液を使うため、体外で操作できる血液量には限界があることだが、それは赤血操術を使う術師が人間の場合だ。
受肉体である脹相には当てはまらない。
「脹相は呪力を血液に変換できる特殊体質、失血しないから隙がナイ」
「有益な情報どうもっ!」
またも飛んできた穿血をギリギリで避け、変化する軌道もなんとか避けきる。
「そのままトイレに逃げ込メ!」
「!?、いや、それは……」
「弱点は知らんが、1つアイデアがあル。成功率は1割ってとこダ、スマンが失敗したら潔く死ネ」
「ひっでぇな」
「このままでもジリ貧で殺されル」