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妖刀使いの臆病呪術師【呪術廻戦】

第20章 10月31日 渋谷にて



伏黒と分かれた虎杖は1台たりとも車がいない首都高速を走っていた。

渋谷駅が近づくにつれて人の悲鳴が大きくなってくる。
助けを求めるというよりパニックを起こしているような叫び声に虎杖の焦りも増してきた。









渋谷駅に辿り着くと想像通り……いや、想像以上の惨状が広がっていた。


駅前で多くの人々が改造人間から逃げ惑っている。
大きな傷を負い血を流して既に動かない人もいる。

人の数も改造人間の数も、虎杖が七海を大声で呼ぶ前に見たよりはるかに多い。


「なんつー数だよ!?」


放っとくわけにはいかねぇ……
でも全員助ける時間もねぇ。

クソッ、どうすれば……


駅は……五条先生はもうすぐそこだっていうのに……!



虎杖が歯噛みしていると、そこへ思わぬ助っ人が現れた。



「明太子!!」

「その語彙は……狗巻先輩!」

「しゃけ!」



声のした方を見ると歩道橋の上で狗巻がメガホンを片手にVサインを出している。

ここは任せろということらしい。


「頼んます!」

「しゃけしゃけ」


高速道路から歩道橋を伝って更に下の一般道まで飛び降り、虎杖は真っ直ぐ渋谷駅に入っていく。

狗巻はそれを見届けてメガホンの電源を入れ、口元を隠していたチャックを下ろした。




『動くな』




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