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妖刀使いの臆病呪術師【呪術廻戦】

第20章 10月31日 渋谷にて



一部始終を見ていることしかできなかった野薔薇はただただ唖然とするしかない。


レベルが違う……

これが一級術師……!!



汗ひとつかいていない七海は踵を返してエスカレーターの方へ歩いていく。


「新田さんの所へ向かいましょう」











七海は上の階に逃げていた新田の手当てをし、現状を2人に伝えた。


「じゃあ、伊地知さんは無事なんスね!」

「出来る限りのことはしましたし、彼も元々は術師を志していましたから。でも、やはり五条さんのことはそちらには伝わっていなかったのですね」


伊地知が無事であることにホッと息をついた新田が答える。


「私達はすぐに室内に入ったので、そのせいっスね」

「封印されても粘るあたり、五条っぽいわよね」


七海から濡らしたハンカチをもらって負傷した顎に当てていた野薔薇も驚きを見せていた。




ベンチに座った2人と向かい合って膝をついていた七海が立ち上がる。


「2人はここで救護を待ってください。私は禪院さん達とB5Fに向かいます」


その言葉に野薔薇は少し考え、七海を見上げる。


「私も……」

「駄目です」


取り付く島もない硬い返答にぐっと押し黙るしかなくなる。


「これからの戦いは私……つまり一級で最低レベルです。足手まとい、邪魔です。ここで待機を」


おそらく無理について行こうとしても、七海に気づかれ、止められる。
それを掻い潜るなど野薔薇にはできない。

それに負傷した新田をここに1人で残しておくわけにもいかないのは事実だ。


いつもなら一言二言言い返す野薔薇も事態の深刻さから素直に指示に従うしかなかった。



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