第20章 10月31日 渋谷にて
見ると2人の更に奥から蝦蟇が舌を伸ばしていた。
普通ならなんてことのない攻撃。
しかし術式発動中の粟坂にとっては大ダメージだった。
コイツら、いつから気づいた!?
痛みで咄嗟に術式を使えず、虎杖と伏黒の攻撃もストレートに入る。
だが、粟坂とて決して打たれ弱くはない。
口から血を流した状態になっても膝はつかなかった。
「この程度で調子に乗るなよ、ガキ共ォ!!」
粟坂の背後から虎杖の拳が迫る。
今度こそ渾身の殴打が来る……!
と思ったが、予想していた衝撃は来ず、代わりにわずかな空間を隔てて拳がピタリと止まっていた。
「寸止め―!?」
一人時間差で勢いを殺して―……
術式を解く間もなく、勢いを削いだ虎杖の拳が顔面に入り、粟坂はガードレールの外まで吹っ飛んだ。
「……オマエ、意外と器用だよな」
「そう?」
少し目を丸くする伏黒に虎杖は肩をすくめていた。