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妖刀使いの臆病呪術師【呪術廻戦】

第5章 怪異迷宮



「分かってないんだな。虎杖は戻ってくる。その結果、自分が死んでもな……そういう奴だ」

「買い被りすぎだ。コイツは他の人間より多少頑丈で鈍いだけだ。先刻もな、今際の際で怯えに怯え、ごちゃごちゃと御託を並べていたぞ?……断言しよう奴に自死する度胸はない」

特級呪霊に切り飛ばされたはずの左手が元に戻っている。

宿儺が反転術式で治したのか。


今の宿儺は受肉体。
心臓なしで生きられるとはいえ、ダメージはあるはずだ。

虎杖が戻る前に心臓を治させる。
心臓を欠いた身体では自分に勝てないと思わせる。

……でも、できるのか?

特級呪霊の前ですら動けなかったのに?



隣にいる渡辺もまだ戦えるはずだが、宿儺の存在感と殺気に完全に竦んでいる。



……できるかじゃねぇ、やるんだよ……!

伏黒は震えている手を握りしめ、鵺を呼び出し、宿儺に挑みかかる。



「せっかく外に出たんだ。広く使おう」


宿儺は前髪をかき上げて、伏黒を迎え撃った。

鵺と連携する伏黒の打撃を手を使わず、身のこなしだけで避けていく。








なずなは恐怖で動けず、ただ戦いを見ていることしかできずにいた。



自分達では勝てないー


宿儺のあまりの強さにそう確信できる。

もともとは虎杖くんの身体だ。
体術で勝てるわけがない。

加えて今は宿儺が表に出ている。
呪いの王相手では呪術でも勝ち目はない。



そんなことをぐるぐると考えて立ち止まっているうちに、伏黒が殴り飛ばされた。


「あ……」


かなりの勢いで飛ばされたはずのその光景がなずなの眼には異様にゆっくり映る。




ーー嫌だ。



家族のように失うのは……もう嫌だ……!


身体が動いたのが先か、そう感じたのが先
か、なずなは宿儺に斬りかかっていた。


たとえ勝ち目がなくても、何もせずに仲間を失うことだけは絶対にしたくなかった。


「虎杖くんを、返して……っ!」

宿儺に斬りかかったなずなだったが、容易くかわされる。


速い……!

でも、見えないほどじゃない。


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