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妖刀使いの臆病呪術師【呪術廻戦】

第20章 10月31日 渋谷にて



一級呪術師の推薦―

猪野はこの推薦に殊更こだわりを持っていた。


思い出すのは、七海に一級推薦について話したある焼肉店でのこと―……




「何故私の推薦にこだわるのですか?君の術式なら、準一級くらいすぐになれます」

「やっぱ“筋”って大事だと思うんスよ。特に呪術師みたいに血生臭い職業は」


率先して七海の分の肉を焼きながら、猪野は即答した。


「でも俺は頭悪いから、筋の通し方が分からなくなることがある。だから迷った時は『七海サンならどうするか』って考えるんです」


そのお陰で窮地を脱したことだって一度や二度ではない。
猪野にとって七海は頼れる指針ともいえるのだ。


「それで七海サンに認められずに一級ってのは嘘でしょ。あ、飲み物追加します?」

「……マッコリを」













目出し帽を被った猪野が呪力を纏うと手の中から紋様のついた角が現れる。


猪野の術式「来訪瑞獣(ライホウズイジュウ)」は顔を隠すことで自らが霊媒となり、四種の瑞獣 獬豸(カイチ)、霊亀(レイキ)、麒麟(キリン)、竜(リュウ)の能力を降ろして使役できる。



来訪瑞獣 一番―


「獬豸」


オガミ婆に向かって角が勢いよく射出される。

男がオガミ婆を抱えて逃げるが、それも軌道を変えて追尾していく。



避けられないと悟った男はオガミ婆を降ろし、自らの腕で角を受け止めた。

呪力強化が甘いのか、獬豸を受けた腕は負傷し、出血している。


その後ろではオガミ婆が数珠を捏ねながら、何やら呪文を唱え始めた。



猪野はそれを冷静に観察する。


七海サンに任された以上、2人を放ってはおけねぇが、かといってコイツらを引き連れていくのも違ぇよな。

ベストは瞬殺して後輩ちゃんズと合流だ。



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