第20章 10月31日 渋谷にて
「一級術師である私でしか通らない要請がいくつかある。外に出て伊地知君とそれらを全て済ませて来ます。3人にはその間に術師を入れない帳を解いてほしい」
座っていた柵から飛び降りた猪野に更に指示を出す。
「猪野君、日下部さんや禪院特別一級術師もこの帳内にいるはずです。合流できた場合、現状を伝えて協力を仰いでください。あの大声でもう伝わっているかもしれませんが」
「了解!」
「それから、2人を頼みます」
「はい!!」
七海離脱後、七海から頼られたことに感極まって空を仰いだ猪野に虎杖が首を傾げた。
「猪野さん?」
「オマエらぁ!任務前に事の重大さを教えてやる」
ビシッと人差し指を立てて虎杖と伏黒をを見る。
「1つ、五条家の失墜。五条家は五条悟のワンマンチーム。五条サンが利かせていた融通(ワガママ)で救われていた術師が数多くいる!虎杖、オマエもその1人なんじゃないか?」
「ッスね!」
「だろ?そういう連中がみーんな困ったサンになってしまい、最悪消される!」
人差し指に続いて中指も立てる。
「そしてその2、パワーバランスの崩壊!五条悟がいるからという理由でおとなしくしていた呪詛師、呪霊達が一斉に動き出す」
もっと悪いのはここからだ。
「その1で内輪がゴタついている時、その2の奴らとプチ戦争なんて起こってみろ、負けるぜ!?俺と七海サンはそう読んでる……負けたらどうなる?」
これにはまだイマイチ実感が湧かない虎杖に代わって伏黒が答えた。
「少なくとも日本では人間の時代が終わるかもしれないですね」
「分かってんじゃねーか」
猪野が2人の肩を叩いた。
「いくぜ、後輩ちゃんズ!七海サンが戻る前に帳をブッ壊す!!五条悟を助けるぞ!!」