第20章 10月31日 渋谷にて
「ナナミーン!!」
届いているか分からない虎杖はまだ叫んでいる。
「ナ・ナ・ミン!ナ・ナ・ミン!ナ・ナ・ナ・ナ・ナナミン!!」
だが、すぐ後ろに七海達は来ていた。
「おい……おいって」
伏黒が声を掛けるが、自分の大声で聞こえてない。
べしっと頭を叩かれ、虎杖もやっと気づいた。
「伏黒!ナナミン!……と誰!?」
猪野が肩をすくめる。
「ナナミンって、マジで七海サンのことだったんだな……」
猪野が軽く自己紹介した後、メカ丸から状況説明する。
「夏油さんが?」
怪訝そうな七海にメカ丸が答えた。
「正確には夏油傑の裡にいる何者かダ。今、渋谷駅構内は正に伏魔殿。特級とソイツらが連れてきた呪霊、夏油の息のかかった呪詛師、そして改造人間と一般人」
「確かにそれなら地下鉄の隣駅から攻めた方が早い。だが、そのためにはまず帳を解かなければ……」
「緊急事態だ、マルチタスクで頼ム」
七海は虎杖と伏黒を見て少し考える。
一級推薦を受けているとはいえ、学生の身である彼らに任せていいものか、
……四の五の言っている場合ではないか。