第20章 10月31日 渋谷にて
「宿儺は味方ではない。復活したことで儂らが負うリスクの方が大きいかもしれん。だが宿儺が復活すれば、確実に呪いの時代が来る。儂らは今の人間共とは違うのだ」
呪いが人として立つために、今何をすべきか。
「死すら恐れず、目的のために裏表のない道を歩む。それが偽物共にはない呪いの真髄だ」
「違うっしょ。軸がブレようと、一貫性がなかろうと、偽りなく欲求の赴くままに行動する。それが俺達呪いだ」
真っ向から否定したものの、直後に真人なりのフォローが入る。
「あー……違うって言ったのは呪いの在り方で、復活案自体はアリだと思ってるよ。漏瑚と争う気もない。だからゲームをしようよ」
真人は声を弾ませて提案する。
「俺が先に虎杖とエンカウントしたら、奴を殺す。漏瑚が先なら、指を差し出して宿儺に力を戻せばいい」
「俺が先なら俺が殺す。いいな?」
「おっ、脹相も参加する?勿論いいよ」
「おい!」
漏瑚が抗議しようとするが、真人は素知らぬ顔で夏油に尋ねた。
「夏油はどちらかと言えば漏瑚派だろ?どうする?」
「私は獄門疆を見ていないといけない。遠慮させてもらうよ」
真意を探るような真人の視線にも動じない。
「好きにするといい。私にとって宿儺は獄門疆が失敗した時の代案に過ぎない」
真人の思いつきのゲームの参加者が固まったところで、漏瑚は憮然と息を吐いた。
「馬鹿馬鹿しい。術師達は虎杖も含め、皆五条を助けにここに向かって来る。ならばここで待てばいい。ゲームにならん」
「よーいドン!」
走って階段を上っていく真人達に続いてなぜか陀艮もついていったため、その場に残るつもりだった漏瑚も居ても立っても居られない。
「待たんか!!」
結局3人を追って階段へ走り出していた。