第20章 10月31日 渋谷にて
壊した傀儡を前に真人は肩をすくめた。
「いやー、バレたね。こっちの状況」
「術師が総力を挙げてここに来るよ。私はここに残るけど、皆はどうする?」
問いかけた夏油に真っ先に答えたのはこれまで口数少なかった脹相だった。
「俺は弟の仇、虎杖悠仁と釘崎野薔薇を殺す。その後、高専に保管されている他の弟達を回収する」
「釘崎とやらは知らんが、虎杖は駄目だ、宿儺にする」
「関係ない」
釘を刺した漏瑚にキッパリ口答えする脹相。
両者とも譲らず、お互いの視線を絡めて火花を散らしている。
「漏瑚、落ち着いて」
触発しそうな2人を真人が仲裁するのかと思いきや……
「やっぱ俺も虎杖殺したいかな」
笑顔でそんなことを言い出した。
「真人!何を!!」
「五条悟の実物を見た感じさぁ、五条を封印した今、術師と呪霊はイーブン。宿儺が復活すれば超優勢、ほぼ勝ちってことでしょ?」
愕然とする漏瑚の傍ら、真人が問いかけるような視線を送ると、夏油が頷いた。
「まぁそうだね」
「じゃあさ、今の戦力でも勝つ時は勝つってことじゃん」
真人はわくわくと逸る気持ちを抑えられない。
「虎杖は殺しちゃお。大丈夫、宿儺なんていなくたって、俺達なら勝てるさ」
「……本気か?」
「本気と書いて大マジさ」
むぅ、と漏瑚は口を噤む。
―100年後の荒野で笑うのは、儂である必要はない。呪いが人として立っていればそれでいい―
それは以前、漏瑚が街中で夏油に語った本心。