第20章 10月31日 渋谷にて
「状況を確認次第、新田さんはもう一度帳の外へ。中で電波が断たれる以上、誰かが常に外にいなくてはならない」
通話しながら、伊地知は別の端末を操作する。
「あなたにはその役をやってもらいたい。今から我々補助監督だけでなんとしても連絡網を確立する。非番と窓の一部も動員すれば可能でしょう」
突入した3班と明治神宮前にいる冥冥班とも連絡をつけられるようにしておかなければならない。
急ぎ人員の配置を組み立て、メッセージを一斉送信する。
補助監督や窓のこれからの動き、連絡体制をどう敷いていくか、迅速に決めていく最中―……
「えいっ」
軽い声と一緒に腹部に衝撃。
次いで広がる灼熱の激痛。
背後から刺された……!?
横目で背後を見ると、サイドテールの痩せた男。
もしや交流会の時に高専に侵入した呪詛師の……!
「えいっ、えいっ、えーいっ」
続いて3度刺され、伊地知はその場に崩れ落ちた。
重面 春太は楽しげに目を細める。
「やっぱ俺には弱い者イジメが向いてるなー。これでいいんでしょ?」
重面が振り向いた先には一部分だけ色が違う白いおかっぱ髪の小柄な人物がいた。
「はい、あなたはこのまま帳の外でスーツの人間を狩り続けてください」
「はーい、終わったら中行っていいよね」