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妖刀使いの臆病呪術師【呪術廻戦】

第20章 10月31日 渋谷にて



メカ丸の言葉は冥冥にはとても信じられるものではなかった。


「あの五条悟だよ?何を根拠にそれを信じればいい?」

「悪いが何もない。あえて言わせてもらえバ、俺がココにいることダ」


メカ丸の本体である与 幸吉は、真人達呪霊側に高専の情報を流す代わりに、自身の身体を真人の無為転変で治させるという縛りを結んで内通者となっていた。

だが、交流会で京都校の者を傷つけないという条件を破られたため、離反。

なんとか五条に呪霊側の情報を流そうとしたが、それは叶わなかった。


「俺は既に10月19日に真人という呪霊に殺されていル。今の俺は生前の俺が残した“保険”に過ぎなイ。高度な“保険”ダ、発動条件を“五条悟封印後”に限定せざるを得なかっタ」


自分が死んだ後に発動する傀儡。

五条封印後という発動条件をつけても、不発に終わるリスクがあり、どの術師が呪霊側かも分からない中で傀儡をどこに忍ばせるか、誰に情報を話すか厳選した。


「虎杖悠仁は高専所属の術師の中で最も内通者の可能性が低イ。そして冥冥、アンタもこの状況で完全にシロと確信しタ」

「何故?」

「索敵に長けている人間が渋谷で暗躍せずに明治神宮前に派遣されているからダ。虎杖はそもそも数ヶ月前まで呪術界との繋がりがなかっタ」

「いやいや、体よく協力を拒むためかもよ。それに待機命令が出ていたとはいえ、すぐ渋谷に向かおうとした虎杖君を今の今まで止めていたのは私だ」

「では何故アンタを始末するための呪詛師がここに向かっていル?」


線路の奥から近づいてくる呪力の気配に顔を上げる。


「1……2人かな。虎杖君、コイツらと君がさっき戦った呪霊、どっちが強い?」

「……多分、さっきのバッタより強い」


虎杖が祓った呪霊は術式こそ無かったが、人語を理解していた。
どんなに少なく見積もっても準一級以上だ。


「そんな連中がウヨウヨいるのか。今までどこで何してたんだろ」


補助監督に状況確認するため、冥冥がスマホを取り出す。
状況判断するための材料がメカ丸の言葉のみでは乏しすぎる。


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