第20章 10月31日 渋谷にて
ピシッとひび割れる音の直後、背後の吹き抜けを塞いでいた木の根が割れ、上から人が滝のように落ちてくる。
振り向いた五条は舌打ちした。
さっき雑草が塞いでた吹き抜けが今更!?
やっぱ上にも呪霊か呪霊と組んでる呪詛師がいるな。
渋谷に閉じ込めている一般人を次々に投入するつもりか……!
ほんの少し焦りの色が出た五条を見逃さず、脹相と真人は攻勢に動いた。
赤血操術 百斂“超新星(チョウシンセイ)”
無為転変 多重魂“撥体(バッタイ)”
百斂で圧縮した血液を散弾のように広範囲に飛ばし、その血飛沫に撃ち抜かれ、グチャグチャに飛び散る人体。
無理やり魂を重ねられ、拒絶反応を起こして弾ける改造人間達。
漏瑚が頭上から五条を狙うべく、左拳に呪力を篭める。
が、それは囮。
五条に掴まれるや否や自ら左腕を切り落とし、人々に紛れると改造人間が一般人を襲うに任せ、五条の出方を窺う。
五条が虎杖と違って冷酷さを持ち合わせていることは真人達の共通認識だ。
ある程度の犠牲を前提として、確実に自分達を祓いにくるだろうと。
だが、死者が増え、生者も増え続けるこの状況では、その“ある程度”の天秤はもう機能しない。
貴様が今すぐしなければならないのは領域……
“無量空処”を展開することで、領域内の儂らと人間を皆殺しにし、領域外であるB5F投入前の人間を救うこと。
だがそれはできんだろう!
貴様の想定している“犠牲”は、呪霊に殺される人間であって、五条 悟に殺される人間ではないからだ!
考えろ!迷え!集中するのだ!!