第20章 10月31日 渋谷にて
21:15 東京メトロ 明治神宮前駅 B4F
虎杖が冥冥達と合流し、先程祓ったバッタの呪霊が守っていた楔を見せていた。
「俺が祓った呪霊はこれを守ってるって言ってたんだよ」
「その呪霊は術式は持ってなかったんだよね?」
「使ってこなかったから多分ないんだと思う。でも一応会話できたし、結構強い呪霊ってことだよな?」
「そうだね、ふむ……」
楔に巻かれた呪符や残穢を確認した冥冥は所感を述べる。
「おそらくだけど、これには結界術式が組み込まれていて、誰かが呪力を込めるだけで帳が降ろせるようになっているんじゃないかな」
それであれば結界術に長けた術師を何人も用意する必要はなくなる。
同時にこれを作った人物が相当な術師であることも窺えた。
「何にせよ、今答えを求めるには情報が足りないかな。とりあえずB5Fに向かおう」
3人は改札口を飛び越えてホームを目指す。
「しかし凄いね、虎杖君」
「何が?」
「正直な話、もう少し手こずると思っていたよ。君、もう充分一級レベルだよ。術式なしでここまでやるのは日下部以来じゃないかな」
「ツギハギじゃなかったから。もしアイツが相手ならこうはいかなかったよ」
謙遜するでもなく事実を伝える虎杖を憂憂がギロリと睨みつける。
「姉様からの褒誉です。素直に受け取りなさい」
「アザッス、光栄です!」