第20章 10月31日 渋谷にて
漏瑚は一般人を盾にしながら必死に五条に攻撃を仕掛けていた。
花御の死を無駄にするな!
人間に紛れて展延によるヒット&アウェイに徹するのだ。
「脹相!協力しないのであれば貴様から殺すぞ!!」
発破をかけて渋々動き出した脹相の攻撃も五条はものともしない。
が、一般人に紛れる漏瑚に鬱陶しさを感じているのも事実だった。
つかず離れず、
でもそれも限界でしょ。
呪霊が見えない人達が僕を避け始めた。
このまま人が減り続け、スペースができれば火山頭を捉えられる。
さっきみたいに術式を解いて誘うのはナシだな。
コッチの狙いである近接フルボッコはもう晒したし、距離を取って九相図と連携して人混み越しに大技を出されても面倒だ。
……ごめん、全員は助けられない。
「その代わり絶対祓ってやる」
ジリジリと追い詰められていく状況に漏瑚も痺れを切らしていた。
まだか……!?
もう20分は過ぎたはずだ!
ホームから少し離れた場所では、夏油が戦況を観察している。
花御が祓われ、脹相はあまりやる気がないために漏瑚が苦戦を強いられていることも把握済みだ。
だが封印に動くのはまだ早い。
「まだまだ。五条悟、全然余裕じゃん。もっとヒリヒリしないと」