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妖刀使いの臆病呪術師【呪術廻戦】

第20章 10月31日 渋谷にて



視覚共有している烏達の目を通して見る駅構内は静かなものだった。

人間はほとんどいないし、補助監督の言っていた改造人間もB4F以外の場所にはいない。

さて、帳を降ろしている輩は……


と思ったところで、1羽の視界がぶつりと途絶えた。


「……うん、大体分かった」


冥冥は術式を継続したまま、虎杖に問いかける。


「虎杖君、弱い改造人間を沢山殺すのと強い呪霊を1体祓うの、どっちがいい?」


その2択に息を呑む虎杖。


「ま、君の場合は後者だよね」




駅構内ではB4Fに改造人間がおり、それらが一般人を襲っている。
構内に一般人がいなかったのは、改造人間に追いやられる形でそのほとんどがB5F、術師を入れない帳の内側に逃げ込んだためと思われる。


推測になってしまっているのは、偵察に使う烏が呪力を帯びており、B5Fに入れなかったためだ。



視覚が途切れたのはB2F、そこにいた帳を降ろしている呪霊か呪詛師に烏が狩られたのだ。


「再び上がってきた一般人を狩るつもりなのか、帳の条件の問題か。位置取りの理由もそもそものB5F隔離の目的も不明だか……」

「いるんだな?」

虎杖が真っ直ぐ地下を指差す。

「このすぐ下にアイツが」

「どうかな?ツギハギ顔を確認する前に烏がやられてしまったからね。だが、改造人間がいるということはそういうことなんだろう」


どうあれ時間がないことだけは確か。


「戦力を分けるのはどうかと思ったが、グズグズしていてはB4Fの一般人が全滅する。私達はB4F直通の7番出口から降りて一般人を救出するから、やばくなったら君もB4Fまで降りておいで」


虎杖は2番出口から入ってB2Fにいると思われる呪霊か呪詛師を倒し、帳を上げる。
冥冥達は先んじてB4Fで改造人間の数を減らしながら一般人を救出する。



「だが欲を言えば、君と私達が合流する頃には帳が上がり、一般人は解放され、B5Fでの相手方の目的が判明していてほしい」

「大丈夫だよ、冥さん。俺はもう負けないから」



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