第10章 東京・京都姉妹校交流会
結局東京校も得点できぬまま、攻守が入れ替わって二回表、
京都校の4番バッターである東堂が虎杖に話しかけてくる。
「フッ、キャッチャーか。捕球・送球・リード・フィールディングetc……ブラザーに相応しいポジションと言えよう。だが、俺が望むのは、ピッチャー虎杖との一騎打ちだ!」
昨日追い回されたこともあり、虎杖は若干引き気味だ。
「……なら、オマエがピッチャーやればいいじゃん」
「ダメよ、メカ丸が今ピッチャーしかできないんだから」
これには本気で勝ちにきている歌姫が反論する。
「約束してくれ、ブラザー。この打席、俺がホームランを打ったら、次回はオマエがピッ……」
言いかけた東堂の左頬に凄まじいスピードでボールがめり込んだ。
真希の渾身の投球だ。
もちろんわざとである。
倒れ込む東堂を虎杖が助け起こす。
「東堂!しっかりしろ!」
「ナイスピッチー」
はじめに一声上げたのは真依。
「ナイッピー」
それに続いて加茂、西宮。
東京校にも伝播する。
全方位から聞こえるナイスピッチコールに虎杖は愕然とした。
「東堂、オマエ……ムチャクチャ嫌われてるな……」