第9章 弱り目に祟り目
「……四級、ですよね」
「しゃけ」
「えっ、あんなに強いのに?」
伏黒の発言に狗巻がうなずき、思わずなずなが声を上げた。
信じられない。
私と同じ等級……?
「……ま、まさか、真希先輩レベルにならないと私はずっと四級……?」
頭を抱えそうな勢いのなずなをパンダが宥める。
「違う違う、それだと野薔薇が三級なのがおかしくなるだろ?……どうも禪院家が真希の昇級を阻んでいるみたいでな」
呪術師の昇級は推薦制。
術師の家系であれば、縦の繋がりから早くに昇級することも珍しくない。
真希の出身、禪院家は呪術界の御三家の一角で、多くの術師を輩出している。
実力が伴えば推薦はいくらでももらえそうにもかかわらず、邪魔をしているということだ。
「ハァ?何それ、嫌がらせってこと?」
以前、家に見下されていたという真希の言葉を思い出して、野薔薇は口を尖らせる。
「交流会の評判は、広く呪術師界隈に伝わる。真希の活躍が伝われば伝わるほど、禪院家は邪魔し難くなる」
「こんぶ、明太子」
パンダと狗巻としては昇級面で不当に取り残されている同級生を同じ土俵に引き上げたいのだ。
「だからこの交流会、絶対に勝ちにいきたくてな。オマエ達にも気張ってほしい」
その言葉に3人ともうなずく。
「当ったり前じゃない!ボコられた借りもキッチリ返しやるわ!」
「負けるつもりなんて端からないですよ」
「わ、私も頑張ります……!」
東京・京都姉妹校交流会まであと少し。