第36章 断章 傍迷惑な贈り物
呪術高専は4年制、卒業後も術師として任務の斡旋を受けるが、高専内の寮に住まなければならないといったルールはなく、居住は自由だ。
伏黒となずなは卒業後すぐに高専近くのアパートを借り、同棲を始めていた。
……のだが、卒業後もお互い任務の連続。
夜遅くに帰ったら次の朝には遠方出張なんて日が重なり、引越しの荷解きをする暇もなく、とりあえず最低限の衣服だけ出し、椅子、テーブル、ベッドを急いで購入して段ボールの隣で生活する日々が1週間以上続いた。
そしてようやく2人揃っての貴重な休みを取れた日のこと、
「……やっと引越しの荷物を開けられるねぇ」
段ボールの中に眠っていた衣服を取り出し、なずながしみじみと呟く。
荷解きできなかった間にも虎杖や野薔薇、五条から同棲祝いだと贈り物が届き、引っ越したばかりの時よりも開けるものが増えていた。
虎杖からはあると便利な調理器具、野薔薇からはペアのマグカップ。
五条からの贈り物を開封すると……
「わ、派手なクッション!」
中から出てきたのは強烈な配色で大きくYESと書いてあるクッションだ。
ちなみに裏面もYESになっている。
メッセージカードもついており、それを読んだなずなは頬を赤らめて黙りこくってしまった。
するとなずなの困惑を察知した伏黒が箱を開ける手を止め、彼女の手からメッセージカードを取り、素早く中身を確認する。
メッセージカードには手書きで『恵はなずなにがっつくの禁止。ちゃんと意思を確認してからにすること!』と書かれていた。
チッ、余計なお世話だ。
大体、YESしかないこのクッションじゃ意思確認もクソもないだろ。