第31章 断章 Happy Merry Birthday
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更に明くる日―
「恵の誕生日?フッ、このGLG五条悟にかかればなんのその。クリスマスも含めてケーキは予約済みだよ、僕イチオシのパティシエの新作☆」
五条に声をかけたら返ってきた言葉がこれだ。
サングラスの奥で星が飛びそうな程綺麗にウィンクし、得意げに口角を上げている。
無論、飛んできた星は容赦なくなずなの心にグッサリと刺さった。
その道のプロに勝てる訳ない。
経験と技術はもちろん使う器具や食材だって雲泥の差。
しかも普段から美味しい物を食べているであろう五条の舌を満足させる腕を持つパティシエだ。
なずななんて文字通り足元にも及ばないだろう。
「……ケーキは、諦める……」
五条が去った後、なずなはしおしおと崩れ落ちた。
「渡辺、ドンマイ、また来年チャレンジしよ?」
「チッ、あの教師、マジで余計なことを」
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