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妖刀使いの臆病呪術師【呪術廻戦】

第28章 断章 浜辺の誘惑



そして待ちに待った当日―


海水浴場の更衣スペースで着替え終わったなずなは心配そうに眉を八の字にしていた。



「ね、ねぇ、これで大丈夫かな?リボンが曲がったりしてない?」

ここには鏡がないため、水着姿の自分がどうなっているのかイマイチ分かりにくい。

変な格好になっていないか気にするなずなに野薔薇は呆れ顔だ。

「大丈夫よ。大体そのリボン、結んだ形で縫い付けてあるんだから、曲がるも何もないでしょ」

「えっと、じゃあ肩紐は?捻れたりしてない?後ろとかも変じゃない?」

「大丈夫だっつってんでしょ!シャキッとする!」

「は、はいっ」

「いい?今から私達、真希さんと一緒に海岸に出るんだからね。萎縮して距離を置いちゃダメよ、アンタのことだから逸れて迷子になること間違いなし!」

「き、気をつけるよ……!」


日差し対策の大きな麦わら帽子も持って、ようやくなずなの準備が終わり、2人は先に出た真希を追った。



ちなみに野薔薇となずながうだうだと問答をしている内に着替えた真希は先に更衣スペースの出口付近で待っており、女性しかいないはずなのに人だかりの中心になっていた。

顔小さい、手脚長いという声はもちろんのこと、ヤバいという声やグラビアモデルなのかと驚く声、いやいやボディビルダーじゃないかという小声があちこちから聞こえてくる。



「あー、やっぱり……なずな、突撃するわよ」

「あの中に!?」


オロオロするなずなの手を掴み、野薔薇が無理やり人だかりを突き進もうと一歩進みかけた時、突如人の壁が割れて奥から真希が歩いて出てきた。


「やっと出てきたな、早く行くぞ」

「……真希さん、やっぱりTシャツ着ません?」

「私もそう思います!外に出たら身動きできないくらい人が集まっちゃうかも……」

「大袈裟だな。大丈夫だろ、パンダの方が絶対目立つだろうし」

「大袈裟じゃないです!」


苦笑した真希に野薔薇となずなが声を重ねた。



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