第27章 断章 明くる日のお話 ※
「呪霊を祓った後の呪物回収はその二級術師に任せるわけにはいかなかったのか?」
二級ならそのくらいできるだろと苦い顔をした伏黒。
一級術師が忙しいのは相手も認識していたはずだし、忙しいからこそ休める時には優先的に休ませてほしい。
私情にはなるが、伏黒にとってはなずなの方が大切なのだ。
「手助けできるなら助けたかったの。私達だって学生の時に困ったことがあったでしょ?」
当時の自分達には手に負えない難しい任務、一級以上の術師に応援を要請しても対応できる術師が現場周辺におらず、命からがらなんとか助かった、なんてこともあった。
だから自分の手の届く範囲でそういった要請があれば、可能な限り応えたいと笑ったなずなに伏黒は何も言えなくなる。
それが彼女の良いところでもあるし、同じ状況に置かれたら、結局自分もなずなと同じ行動を取るだろうということ、それを彼女に論破されることも分かっていたから。
その後、伏黒も最近の任務のことや高専でのこと、なずなと会えなかった2週間の出来事を話しながら食事を済ませた。
「ごちそうさまでした」
こんな時間だし、もうこれをブランチにしてしまって、洗濯や掃除を済ませよう。
あとは足りない日用品を買いにいって……
食料品は家にいること自体が少ないので保存の効くものかつ最低限だ。
そんな日常的なことでも一緒にいると楽しいもの。
離れていた時間を埋めるように手を繋ぎ、言葉を交わす。
ちょっとしたデート気分であっという間に時間は過ぎてしまった。