• テキストサイズ

妖刀使いの臆病呪術師【呪術廻戦】

第25章 断章 呪具女子!



「それより、どうして道が覚えられねぇんだよ?」

「ご、ごめんなさい……」


少し責めるような口調になってしまったからか、なずなは肩を縮こませて謝ってくる。


「お、覚えようとは、してるの……で、でも、どうしても途中で分からなくなっちゃって……」

「寮から教室まではどう行こうとしてるんだ?」

「寮を出たらまず仏塔があるところまで真っ直ぐ、あ、でもこの前は伽藍堂になってたから……?えっと、じゃあ仏塔か伽藍堂が見えたら、次に右に曲がって小さなお社まで行くでしょ……そうしたら、石灯籠が見える……から……」


自信なさげにどんどん語尾が萎んでいくなずなの道順を聞いて、彼女が高専内で迷子になる最大の理由がやっと分かった。

なずなは道を覚えるのにルートを直接覚えるのではなく、目的地までの目印を定め、その目印ごとにどの方角に行くのかで覚えようとするのだ。


これは主要なもの以外の建物が日々入れ替わる高専では致命的だろう。
似たような建物が多い場所でも迷うに違いない。

初めての場所など言わずもがな。



伏黒は長いため息をついて、こめかみに手を当てる。


「……渡辺、明日から一緒に教室に行かねぇか?」

「へ?ぁ、と、それは……?」

「学生寮の前で待ち合わせして2人で教室に行けば迷うこともねぇだろ」

「い、いいのっ!?で、でも伏黒くんの迷惑になるんじゃ……」

「俺としては後から探すことを考えたら、そっちの方が手間が省ける」

「道、覚えられなくて、ごめんなさい……」


しゅんと肩を落としたなずなに伏黒も少し気まずくなる。


「謝るな、どうせ俺も教室に行くんだから一緒に行くのも変わらねぇよ。結界の影響で高専内が迷いやすくなってるのは事実だし、その内オマエも道を覚えられるかもしれねぇし」

「ぅ、うん……あの、ありがとう」



/ 1228ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp