第24章 おかえり
今度は乙骨が話題を切り替えるように切り出した。
「あとはなぜ地震が起きたか、だね。羂索が獄門疆を持っていたとしても、それが地震の原因になるとは考えにくい」
「地震……とは違うけど、そういう呪霊は渋谷で見たよな。羂索の持ってた大鯰の呪霊」
パンダの言葉に虎杖が難しい顔で腕組みをして唸る。
「でもあれの術式は錯覚みたいな感じだった。足元にいきなり大穴が現れたんだよな、でも実際には穴なんて空いてなかったし……」
「獄門疆“裏”からではなく、獄門疆から解放されるという仮定は理解できるが、どうしても地震とは繋がらないな。羂索が地震を起こせる呪霊を持っているとしても、そんなことに意味があるとは思えない」
来栖の頬に口を現した天使も訳が分からないといった様子だ。
そんな中、乙骨がふとある可能性に思い当たり、呟いた。
「……もう手放していたのかも」
「!」
「羂索の目的が死滅回游を邪魔されないために五条先生を封印することだったとしたら、目的は達成されたから、獄門疆をずっと持ってる必要はない……」
「手放したら誰の手に渡るか分からねぇのにか?」
「他人が簡単に手を出せない場所ならどうかな?例えば……」
真希の疑問に答えながら乙骨はラジオに視線を向ける。
『震源地は千葉県房総半島沖、震源の深さは……』
「まさかここ!?」
「震源地は深海の底だぞ!そんなとこにどうやって持ってくんだよ!?」
虎杖とパンダの驚愕の声に天使が冷静に答えた。
「呪霊だ。水圧の影響を受けない呪霊に持って行かせたのなら特段難しいことじゃない」