第24章 おかえり
獄門疆に閉じ込められた後の時間感覚は長いようで短いものだった。
あれからどれくらいの時間が経ち、今が何月何日なのかは分からない。
だが解放された瞬間、これだけは分かった。
生徒達が期待に応えたのだと。
ならばまずやるべきことは1つ。
親友の身体を弄ぶ輩を野放しになどするものか。
光のない暗闇の世界から飛び出し、海上に出たのは少し驚いたが、“蒼”を使ってすぐさま陸上へ瞬間移動し、あちこちに残された残穢を辿って標的の人物を探す。
残穢は隠されることなく残っており、その人物を見つけ出すのにそう時間はかからなかった。
長く伸ばした黒髪、袈裟を纏った姿。
見間違えるはずのない呪力。
唯一異なるのは額の縫い目。
渋谷で見た当時と変わらぬ姿に静かな怒りが燃え上がる。
「どう?久しぶり?お寛ぎいただけたかな?」
軽く肩をすくめてみせるそれに対して低い声で言い放つ。
「オマエさ、もっと言葉を選んだ方がいいんじゃない?」
相手が身構えるのを冷たく見据える。
「今際の際だぞ」
ここで親友の肉体を弄ぶ不届者を確実に屠る。
絶対に逃しはしない。
次の瞬間、“蒼”が炸裂した。
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