第24章 おかえり
そこへにゅっと乱入してきたのは鵺の雷撃を受けたはずの高羽だ。
感電していてもおかしくなかったはずだが、ダメージはなく、なぜか身体中から湯気を立ち上らせてピンピンしている。
そして迷わずなずなを閉じ込めている氷の壁に体当たり。
理屈は一切分からないが、氷は一瞬の内に解け、支えを失って崩れ落ちたなずなを真希が抱き留め、裏梅の術式を知らぬであろう高場に忠告した。
「気をつけろ、高羽!ソイツは氷の術式を使……」
「霜凪!」
突如として現れた高羽を狙って裏梅が凍てつく冷気をぶつけてくるが、凍るどころか霜すらつく気配もない。
「So Cool!!」
それどころかくねりくねりと身を捻り、全身に冷気を浴びてもノーダメージだ。
「ふざけた奴め」
この冷気は過冷却状態の呪力、触れれば瞬時に凍りつく。
無論吸い込めば肺まで凍結する。
にもかかわらず、目の前の男はまるで涼風にでも当たるかのような様子だ。
意味が分からない。
周囲にこの冷気を打ち消せるような熱源はなく、こちらの出力も落ちていないはずなのになぜ凍らない?
「ぅらぁっ!」
裏梅の意識が高羽に向いたところへ虎杖の蹴りが入った。
裏梅に触れた瞬間からパキパキと薄い氷が張ってくるがお構いなしに蹴飛ばす。
渋谷もそうだったが、虎杖だけ他より氷結が甘く、腕や脚を凍らされても氷ごと身体が砕けるレベルではない。
お陰で思い切って攻められる。
裏梅を蹴飛ばした先には真希がおり、すかさず裏梅の首を落とさんと追撃する。
すんでのところで躱した裏梅だったが、避けきれず腕を深く切られた。