第23章 本領
難しい顔をした虎杖はコガネが表示した総則を見直す。
「総則……総則……あ、本当だ!でもそれってつまりどういうこと?」
「最初の転送と同じで死滅回游の総則じゃなくて結界の条件なんじゃないかな」
だからコガネも特に説明はしなかった。
なずなが結界に入った直後を思い出して答えると来栖が眉をひそめた。
「総則追加で結界の出入りを可能にしても、結界の条件で弾かれる可能性があると……」
「だから先輩達はルール追加を保留にしてたのか」
「あと電波に関しては、私と憂憂が連絡係をやることである程度は先延ばしにできるって判断だ」
「えっと、真希先輩は結界を出入りできるってことですか?だからそれぞれの結界に行って乙骨先輩や秤先輩とも連絡を?」
「ああ、見ての通り呪力が完全になくなったからな。ただそれも泳者となった時点でできなくなるかもしれないから、私は回游には参加してねぇ」
だからコガネに泳者の情報を出させた時に表示されなかったのか。
理由が分かってホッとするのと同時に衝撃を受ける。
「まずは④泳者の死滅回游からの離脱を先に進める。既に憂太から点は渡ってるな?」
「よっ」
伏黒のコガネが所持点を表示する。
伏黒 恵
得点:363
変更:00回
滞留結界:東京第1
「コガネ、総則追加だ。泳者の死滅回游からの離脱を可能にしてくれ」
「却下されました。総則7に抵触します」
ここまでは予想通り。
あらかじめ考えておいた次のプランを出す。
「泳者は身代わりとして新規泳者を結界外から招くことで死滅回游から離脱できる、ならどうだ?」
「……却下されました」
「!?」
無機質な声で答えたコガネに全員が息を呑んだ。