第1章 再会
高専を卒業して4年たった今でもこんなに鮮明に思い出されてしまう……。五条と別れて4年たった今でも。
◇
「ねー、聞いてる? おーい」
「――え? あ、なんだっけ?」
「ス、マ、ホ、早く出して」
五条の声で、ハッと我に帰った。肘をついて、まーだー? といった顔で催促している。慌ててスマホを出すと、ささっとLINEのIDを交換した。
「結局、特級仮想怨霊の話、何にも聞かなかったからさ、また別の機会に聞かせて」
「あ、うん」
店の外に出ると、蒸し暑さは幾分和らぎ、空は黄昏に染まっていた。店の前で簡単な約束を交わした五条と未亜は、4時間も居座ったそのカフェを後にした。